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フライパン難民から卒業!一生ものの鉄製フライパンの失敗しない選び方からお手入れのコツ

プロにも愛用者が多い鉄のフライパン。その魅力は、素材に火が通りやすく、美味しい料理が作れます。優れた耐久性で、10年20年と、世代を超えて使えるものも珍しくありません。使い込むほどに馴染み、扱い易い一本に。栄養的にも鉄のフライパンで調理すると、鉄分が多く摂取できることも注目されています。
「フライパン難民」とは、俗称ながら、日々使うフライパンを消耗品のごとく度々買い直すものの、どうもしっくりこない…という状態。ぜひ卒業したいですね。
一生もので使える鉄フライパンの失敗しない選び方、使い方のコツを、調理の面からも紐解きます。

■鉄のフライパンの5つの魅力

1.電熱率の良さ 食材に早く火が通るので、料理が手早く美味しく仕上がる!
2.経済的     長く使え(数年単位の)短いスパンの買い替えの不要です!
3.優れた耐久性 硬く変形しづらい。表面も劣化せず、一生もので使える!
4.デザイン性  黒い鉄の引き締まったデザインで、ぶら下げ収納でも素敵!
5.鉄分補給   他の素材の調理器具を使用するより、鉄分補給が期待できる!(※A)
※A
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版 (七訂)」掲載の「ひじき」の100g当り鉄分含有量に関し「鉄釜だと58.2�rの鉄分を含むが、ステンレス釜だと6.2mg」と発表。
同じ、ひじき料理でも、ステンレス製より、鉄フライパンで調理する方が9倍以上摂取できることになるのです。

■失敗しない!フライパン選びの4つのチェック項目

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■チェック1.価格
メーカーなどにより、価格は数千円〜万を超えるものも。耐久性があるので一生もので付き合えますから、フライパン難民の方なら特に何本分も「経済的」。ですが、気合が入り過ぎて、高価すぎるものを購入したりするのも考え物。「汚さぬように大切にぶら下げて飾っています。高価だったので…。」では悲しいですね。
使ってこその道具ですから、シンプルな日々の名もなき料理でも、使う気持ちになれるかどうか?価格帯への意識も大切です。

■チェック2.デザイン

素敵な厨房やキッチンにあるようなデザイン性も高いもの!と目指したくなりますが、デザインと機能は表裏一体。柄のデザインに注目し、機能的に調理時に「柄(え)」が熱くなるかどうか?も大きな判断材料です。
加熱時間が長くなると、柄まで鉄製のものは、高温になるものもありますし(厨房のシェフは、すばやく料理しながらも、さりげなく鍋掴みを使っています。)柄が違う素材にして鍋掴みが不要なもの、または柄が鉄の一体型でも熱が伝わらない工夫がされたデザインも多くあります。
一体型であることは、洗い易く、柄の接続部分からの腐食のリスクが無いので衛生的には優れたデザインでもあります。使い勝手や、機能性にも注目しながらデザイン的にもお気に入りのものを見つけましょう。

■チェック3.大きさ
成人の握力の平均は、女性は25〜30�s、男性は45〜50�s。1.5〜2倍近く違いますね。
家庭の台所で使うフライパンは、女性でも扱い易い重さであることに目を向けたいもの。
意気込みで「大は小を兼ねる!」と大きいサイズを購入し、結果、重くて使わなくなってしまうのはもったいない。もし初めての鉄フライパンならば、気持ち小さめサイズを購入してみるのがおすすめです。小さいほうが、気軽に出して、仕舞えるのも利点です。
小さめサイズで使い勝手もわかったところで、2本目に大きいサイズを購入するのも失敗しないコツですね。

■チェック4.厚さ
鉄フライパンの厚さはそれぞれ違い、薄手のものから、しっかりと分厚いものも。
厚手のフライパンにも機能的な魅力がありますが「厚さ=重さ」になります。見た目が小さくても、厚みがある場合は重たいフライパンになるので、その点は選ぶ際に考慮しましょう。
薄さは電熱率の良さに繋がります。瞬時にすばやく火を通したい調理なら薄さは大切です。厚さがあるものは、火が通るまで少し時間がかかりますが、その分冷めにくいので予熱調理などが期待できます。どちらが欲しいのか?も選ぶ時のポイントですね。

■日常的な使い方のポイント

フライパンにオイルを塗るオイルボトル(左)汚れを落とすための天然繊維のブラシ(右)

□購入後の「油ならし」
最初の一回目だけ「油ならし」を行いましょう。フライパンを煙が少し出るくらいまで強火で熱し、油を大さじ1程入れ、一掴みの屑野菜(人参や玉葱の皮など)を炒め、フライパン全体に熱や油が回ったら、中身は破棄します。これは鉄臭さを抜くための作業です。その後は下記の「使い終わり」と同じ手入れをして完了です。5分とかかりません。

□調理の始め
ガス台(or IH調理台)にフライパンをおいて、中火程度の火にかけ、空焚き(食材など何も入れずに火をかけ、少し白い煙が出てくるまで高温にすること)してから、油を入れて回し広げ、食材をいれます。「空焚き+油を敷くこと」がセットで鉄フライパンの表面には油膜が張り、調理中に食材などがこびりつかなくなり、汚れも取れやすくなります。
(肉の調理などコールドスタートをさせたい場合には、一度上記の作業を行い、火を止めフライパンを冷ましてからコールドスタートをするのがおすすめ。)

□使い終わり
1.フライパンを(洗い物をするような温度の)湯で流して、洗剤を使わず、ブラシなどで擦り洗いをします。洗剤を使ってしまうと、フライパンにせっかく張った油膜がなくなってしまうので要注意です!
(しつこい汚れは、フライパンに水か湯をいれて火にかけて汚れを浮かしてから、ブラシでこすりましょう。それでも落ちない汚れは、鉄繊維のブラシで擦り落とします。ただし、この後には必ず下記の「シーズニング」で油膜を張ることが必要です。)
2.洗ったフライパンを再び火にかけて(中火程度)、空焚きします。フライパン表面の水分が飛び、少し白い煙がたつくらいまで熱し、数的油を薄く引き馴染ませます。水気は錆びのもとになるので、表面はもちろん、フライパンの裏側や取手との接属部分の腐食のもとにもならないように、使用後はしっかり乾かすか、残った水滴は拭き取りましょう。

鉄フライパンの大敵は「錆び」ですが、使い終わりにこの一連の作業を行っていれば、まず錆びることはありません。

■シーズニングについて(鉄鍋などのお手入れ方法)

アウトドアやキャンプ用語としても使われる言葉「シーズニング」。油ならしなどで鉄製の調理器具のお手入れをして「酸化を防ぐこと」が一番の目的です。

□鉄フライパンのシーズニング
1.フライパンを中火から強火で、少し白い煙が出るくらいまで空焚きし、柄を持って全体を熱する。
2.火を消し、すぐに油を注ぎ、柄を回してフライパン全体に馴染ませます。
(シーズニングの油の量は、塗る程度ではなく、大さじ2杯程度たっぷりと注ぎましょう。この油が塗装代わりの油膜となり、こびりつきや、錆びを防ぎます。)
3.2.の油を別容器などに取り出し、そのまま5分程度をフライパンを置いておけば完了です。

まめに手入れしながら使用したフライパンは、表面が黒く油が馴染んでいきます。
もし、表面の色が変色している場合などにはこの「シーズニング」を行いましょう。

□鉄フライパンの調理で気を付けたいこと
1.作り終えた料理を放置しないこと
調理後の料理はフライパンに入れたままにせず皿などに移し、フライパンは(洗剤を使わず、湯やブラシで)ささっと洗いましょう。フライパンが熱いうちの方が、汚れは楽に落ち、効率的です。
食材や調味料の中には、酢、クエン酸、糖分、塩分などが含まれるものもあるので、イオンの働きで鉄フライパンの鉄が還元され、銀の地鉄の色に戻ってしまいます。下記の食材や調味料などは特に調理後はフライパンから移して速やかに洗い落としましょう。
・酸・アルカリの強い食材…トマト、レモン、梅干し
・酸の強い食材…酢、ケチャップ、醤油
・タンニンを含む食材…蓮根、ほうれん草、ナス、ごぼう、まめ、山菜
※表面が地鉄の色に戻った際にもシーズニングを行いましょう。鉄は表面にコーティングしていないタフな素材なので、何度でも酸化皮膜がよみがえりますから安心して使い続けることができます。

2.浅い型の鉄フライパンの場合、揚げ物や天ぷら料理はしないこと
浅い型でガス火調理ぼ場合は特に油に引火する恐れがあるのでやめましょう。(深い形で揚げ物料理対応の鉄フライパンの場合は差支えありません。) お手入れ方法もあると良いと思います。

■おわりに

最近はIH対応の鉄フライパンも増えていて、様々な環境にも対応しています。
手早く効率的に料理したい時のフライパンの最大の関心事は「こびりつくかどうか?」ですが、繰り返し手入れされた鉄フライパンは、油膜が張り、オムライスでもチャーハンでもこびりつきません。鉄製の調理器具は「育てる」という表現も使われますが、使う度に油膜を張らせることで、自分にとって更に使い易い一品に「育てる」のです。
洗う際にもすぐに汚れが落ちるようになるので、使い込むほどに手軽に、快適に料理をすることができ、おすすめです!

ライター:ふたば

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