長く愛用したい!鋳物(いもの)鍋の正しい使い方&お手入れ方法

「シチューも煮物も、これで作ると絶品になる!」と料理好きから支持されている鋳物製の鍋。熱伝導率と蓄熱性高さが魅力で、丁寧に使うと親から子の代まで愛用できるものですが「特徴」や「お手入れ方」を把握せずに誤ると、その寿命を短くしてしまうことも。人気の鋳物鍋を長く使い続けていけるようにシーズニングや重曹を使った汚れ落としをはじめ「やってほしい4つのこと」と「やってはいけない5つのこと」をご紹介します。

■鋳物(いもの)鍋って?

鋳物(いもの)とは金属と溶かし、鋳型(いがた)に流し込んで器物を作ることをいいます。(日本では17世紀中頃に作られはじめた南部鉄器なども鋳物になりますが)フランスなどでも200年以上前から鋳物鍋が作られています。その後1950年代からは、鋳物鍋はフランスからヨーロッパだけではなくアメリカなどでも普及し始め、1990年代からは日本でも大手の鋳物鍋メーカーの商品が販売されるようになりました。そこからこの20~30年は料理好きのキッチンではよく見かける、憧れのキッチンツールとして今でも人気が高い鍋です。

■鋳物鍋の魅力 

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持った時の「ずっしりとした重さ」これこそが金属で作られている証拠ともいえます。それにより実現される「熱伝導率」と「蓄熱性」高さが鋳物鍋の最大の魅力です。鋳物鍋を始めて使うと、料理のジャンルを問わず、ゴロゴロ野菜の入ったポトフも、和食の筑前煮なども、味の染み込み具合の良さにも驚くはずです。また蓋(ふた)も重たい鋳物で作られているのもポイントです。通常の鍋の蓋はステンレスやガラスなどはそう重くありませんが、鋳物鍋の蓋だとその重さで水蒸気や熱を逃がさず、鍋の中で熱を効果的に対流させます。そして「蓄熱性の高さ」で一度温まるとその熱がなかなか逃げない特徴があり、じっくりと火が通るのです。

 

■家庭用ではなく、三ツ星レストラン用の鍋として誕生!?

日本でも人気の鋳物鍋の中には、フランスの三ツ星レストランのシェフとの共同開発で生まれたものもあります。味を追求するプロフェッショナルのために生まれた鋳物鍋が、今ではレストランだけではなく日常使いとして家庭で使われているのです。手間を惜しむことなく味を実現するレストラン用の鍋を、日々の生活の中で使用するので「他の鍋と一緒の扱いでははらない」とも言えるのかもしれません。その特徴やお手入れ方法を「知っている」のと「知らず使い続けてしまう」のでは、鍋が良い状態で使い続けられる年月も変わってきてしまいます。高価なものも多いので「一生もの」として使い続けたいものです。そのための「やってほしい4つのこと」と「やってはならない5つのこと」をご紹介します。

 

■やってほしい4つのこと

その1.購入したらメーカーの「取扱い説明書」をまず読む

「そんな当たり前のこと」と思われがちではありますが、電気製品などと違い、鍋やフライパンなどは読まずにまずは使い始めるという方も意外に多くいます。鋳物鍋のメーカーによって推奨しているケア方法などのそれぞれ説明書に掲載しています。ぜひ購入時に目を通しておくことをおすすめします。「そうはいってももう取扱い説明書は手元にない」という方は公式サイトなどを探して、基本的な取り扱いをぜひチェックしてみてください。 

その2.構造を理解(イメージ)する

鋳物鍋のメーカーは日本で人気のものもいくつかあります。基本的には鋳鉄を砂型に流し込み、鉄が冷えたら中から取り出し、余分な部分を削り取ったあとに、表面をコーティングしています。このコーティングはメーカーによってホーローであったり、独自製法のテフロンであったりします。いづれにしても「鉄の上にコーティングがされている」ことを理解できていると、その「コーティングを守りながら使い続けていくこと」がイメージしやすいので、長く使うための大切な一歩です。 

その3.木製のヘラや、シリコン素材を使用する

鋳物鍋は素材をコトコト煮込む料理だけではく、なべ底で塊肉を焼き付けたり、野菜を炒めたりする(その後から煮込む)場合もあります。金属製の固いヘラはコーティングを傷めて、剥がしてしまうこともあります。必ず木製やシリコン素材のヘラを使うようにしましょう。 

その4.鍋にシーズニングを行う

シーズニング(seasoning)の意味は「慣らすこと」ですが、鍋に油を馴染ませることをシーズニングといいます。鋳物鍋に限らず油膜を張ってから使う、鉄製のフライパンや鍋の表面を油でコーティング際に行います。

シーズニングSTEP1

おろしたての鋳物鍋の場合には、水か湯で柔らかいスポンジを使って中性洗剤などで鍋や蓋を洗い乾かします。日々使用している鋳物鍋でも乾燥しているようであれば、同様にシーズニングを行うことができます。

シーズニングSTEP2

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乾いた鍋底に油(オリーブオイルなど食用油)を塗ります。画像の油ひきや、キッチンペーパーなどに油を取り薄く塗りひろげると良いでしょう。その後、弱火で数分油が馴染むまで火にかけたら、火を止めます。 

シーズニングSTEP3

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表面に滲んだ油をキッチンペーパーで拭き取ります。多すぎる油を取る程度にササッと拭き取るとキレイな艶が出てきます。

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これでシーズニング完了後です。5分とかからずできるひと手間です。

購入した鋳物鍋は嬉しくてすぐ料理に使いたくなりますが、まずはこのシーズニングひと手間をすることが、長く使い続けられるかどうかのポイントです。また、日々使っている鋳物鍋は(鉄製のフライパンのように)毎回シーズニングを行うが必要はありませんが、経年劣化でコーティングが弱ってきている、剥がれてきているかもしれない……と感じる場合には、シーズニングの頻度を上げて使っていくことをおすすめします。

 

■やってはいけない5つのこと

その1.強火で加熱すること

中華鍋など鉄製のフライパンならば、強火で肉や野菜を勢い良く炒めたりすることができますが、鋳物鍋の場合には、そのコーティングを守るためにも強火での使用は基本的にしません。無水調理をする場合には弱火、焼き色を付ける場合でも中火までの加熱です。弱火から中火の加熱でも「熱伝導率」と「蓄熱性」高さがあるので様々な料理することができます。急いでいても、強火でガンガン煮込んだりすることは鍋の寿命を縮めてしまうのでやめておきましょう。 

その2.急激な温度変化をさせること

メーカーによって鋳物鍋のコーティングの素材には違いがあります。ですが、どれも急激な温度変化をさせるとダメージのもとになります。表面がホーローの場合には、ホーロー(琺瑯)とはガラス質の釉薬(ゆうやく)ですから、ある程度の耐熱のガラスでも、急激な温度変化が続くと傷みが生じます。鍋底などに傷みが生じると微小なヒビから、中の鉄部分に水が入ると錆びの元になってしまいます。表面が無色の特殊加工のテフロンであっても、寒い冬のキッチンで冷たい状態の時に急に強火で点火したり、夏場に熱々の鍋を冷やすのに氷水につけたりすることもNGです。表面のコーティングが剥がれる原因になります。剥がれても使用可能ですが、中の鉄の部分が剥き出しになっている状態で、錆びやすくなりますから避けたいものです 

その3.表面を強くこすること

ステンレスの鍋等を使い慣れていると、鍋底のこびりつきなどがあるとついこすり落としたくなるところですが、それはNGなのでグッと堪えてください。表面が硬いスポンジ、金たわし、(手に柔らかいですが)実はメラミンスポンジも、コーティングに傷をつける原因になるので使用はやめましょう。

もしカレーなどがこびりついたとしても、湯と表面がやわらかいスポンジなどで洗い流せないものは、時間をかけて重曹を使って落とす。これが一番です。 

【重曹を使った汚れの落とし方】

1.こびりつきや焦げが隠れる程度の水と、小さじ2~3杯の重曹を入れる

2.中火にかけて10分程度沸騰される

3.鍋が冷めたら、柔らかいスポンジで擦り洗い流す。(焦げ付いた場合でも強くこすってしまうと、表面のコーティングが剥げてしまうことがあるので、注意しましょう)

その4.強い衝撃を与えること

鋳物鍋の表面は卵の殻のように脆いものではありません。とはいえ、落下させてしまったり、蓋を乗せる度にガチャガチャと音が出るほどの勢いで載せていたりすると、表面のコーティングの劣化のもとになります。また鋳物鍋で煮込んだ野菜でポタージュスープを作ると風味も大変良いのですが、鋳物鍋の中にハンドブレンダーなどを直接入れて撹拌することは鍋底を傷めるのでこれも要注意です。(撹拌する際には、鋳物鍋で煮た野菜などはいったんステンレスのボールなどに移して撹拌し、再度鋳物鍋に移し替えてから調味などを行ってください。)

その5.使うことを諦めてしまうこと

「購入当時に比べると鍋底の色がよくない気がする。錆びのようなものがあるし。」などと不安になると、使うのをためらってしまうという話しも聞きます。長年愛用していれば、鋳物鍋それぞれに個性が出てきて状態も様々になってきます。ですが、不安な状態があるようでしたら、メーカーの公式サイトを検索してみてください。お手持ちの鋳物鍋が大手メーカーものであれば、必ずといっていいほど公式サイトに「トラブル状態ごとのの対応方法」などを掲載しています。(ただし、メーカーによって表面のコーティングの仕様に違いがあるので、必ずご使用の鍋のメーカーの手入れ方法をご確認ください。)中には画像入りのものもあるので、わかりやすいものも多いので一度調べてみることをおすすめします。気になっていた色や錆び問題の対処法などがわかると、また安心できて、また愛用できるのではないでしょうか。

おわりに

画像は私愛用の鋳物鍋です。そして、タスカジでお料理に伺う先でも、日本で人気のいくつかのメーカーの鋳物鍋を使わせていただいています。加熱時間は短くても、そのまま置いておくだけで味がぐっと入って染み込んでくれたりするので、結果的に調味料が少なくても美味しく料理が仕上がる。蓋の取手も金属の場合にはオーブンにそのまま入れて料理することもできる。と、私にとってはキッチンに居てくれると心強い味方のような存在です。これから購入される方は、基礎知識として知ってもらえたら。すでにお持ちの方は、時々シーズニングをしてコーティングをケアしながら、鋳物鍋でのお料理を楽しんでいただければ嬉しいです。

ライター名:ふたば  photo by ふたばⒸ2020

 

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著者プロフィール

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ふたば(Futaba)
調理師、幼児食アドバイザー、
大手料理教室講師、イタリアンレストラン、保育園給食室勤務など、10年以上の料理経験を経て現在タスカジでは「ふたば(Futaba)」として、作り置き料理を実施中。2016年より、大手学習塾の大人向け料理講座等も多数実施中。人気シリーズに「こどもの脳にいいごはん」講座などがある。タスカジさんのお仕事レビューはこちら⇒https://taskaji.jp/user/profile/38950

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