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高エネルギーでもなぜ太らない?ココナッツオイルの魅力と仕組み

10年以上前から若い女性を中心に愛用者の多い南国のスーパーオイル、ココナッツオイル。60%含まれる中鎖脂肪酸のその仕組み。50%含まれる「ラウリン酸」の効果で、アーユルヴェーダでも認められていた殺菌効果。現代医療でも認められているその魅力を知ると、ダイエットオイルという認識だけではもったいない!この夏から「飲む点滴」のココナッツオイルを摂り始めてみたくなるはず。

■ココナッツオイルとは?

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ココナッツはココヤシというヤシ科の植物、そこに生る果実から摂られます。

赤ん坊の頭ほどあるココナッツの果実の中には、茶色く固い殻に包まれた種の部分があります。その種の中にある白い種子部分を搾ったものがココナッツオイルで、20度以下で白く固まったり、それ以上の温度で溶けたりを繰り返します。

■注目されたキッカケは…ダイエットオイルとして

日本で「オイルといえば太るもの」が当時の常識だった中、スラリとした海外セレブモデル達が、その体系を保つのに「ココナッツオイルを活用している」ことを発信したことから、減量効果のあるオイルとして注目されました。

ただココナッツオイルは「やせ薬」ではないので、漫然とココナッツオイルを摂って生活していても、大きな減量効果を望むのが難しいながら「運動でエネルギー代謝を上げ、適度な食事制限をする」ダイエットを行っている場合にはココナッツオイルの特徴が活かされます。

■ダイエットオイルと称されるその理由

・エネルギー源にはなるが、脂肪にはならない

・抗酸化作用の高いビタミンEが豊富に含まれ、減量中の体調を支える

・整腸作用があるため、便秘症の人はお通じがよくなる

・体内でケトン体の原料となり、ケトン体が体内に蓄積された脂肪燃焼を助ける

ココナッツオイルダイエットでは一日通常大さじ2杯程度(大さじ一杯111キロカロリー)からの摂取が進められています。(お腹のゆるい人などや初めて摂る人には、急に大量に摂取することでお腹を壊したりする場合もあります。体調をみながら少量からスタートすることが大切です。)

「エネルギー源にはなるが、脂肪にならない」その仕組み…中鎖脂肪酸

オイルなのに「エネルギー源にはなるが、脂肪にならない」と聞いて「どこか腑に落ちない…」という方にも、その仕組みを知ると謎が解けるかと思います。

ココナッツオイルはオイルのカテゴリーの中で、中鎖脂肪酸(ちゅうさしぼうさん)を60%含むオイルで、注目すべきはこの中鎖脂肪酸(ちゅうさしぼうさん)の特徴です。

通常、家庭で料理用油として使用されるオイルや、食品として食べられている油脂で圧倒的に多いのは長鎖脂肪酸(ちょうさしぼうさん)。

(「長鎖」も「中鎖」も聞きなれない言葉ですが、それぞれの脂肪酸を分子レベルでみた際の炭素の形の連なる個数や形ことで、脂肪酸としての鎖の長さで性質が違います。)

□長鎖脂肪酸は…

1.体内筋肉や脂肪組織など肝臓含めた「全身」運ばれる

2.必要に応じてエネルギーとして使われる

3.体内で吸収されるまでに時間がかかる

□中鎖脂肪酸は…

  1. 肝臓に直接届き「全身」へは行き渡らない
  2. 短時間でエネルギー源となる
  3. 効率よく分解される

「長鎖脂肪酸」は食べたオイルが時間をかけて全身に行き渡り、エネルギーとして使われなかったものは体内に脂肪として蓄積される仕組み。

それに比べて「中鎖脂肪酸」の分子の鎖の長さは長鎖脂肪酸に比べて「半分ほど」ともいわれ、長鎖脂肪酸の「約4倍」ものスピードで体内に吸収されます。そのため、食べても全身に行き渡ることもなく、エネルギーとして使われ、分解されるため体内に蓄積されないという仕組みなのです。

医療用点滴として使用されている高いエネルギー補給力…中鎖脂肪酸(MCT点滴)

ココナッツオイルには抗菌作用、抗酸化作用、代謝アップなど、医学的なエビデンス(科学的根拠)があることも特徴です。現在、医療現場ではココナッツオイルの主成分の中鎖脂肪酸の点滴(MCT点滴)が使用されています。手術の後の回復期で大量にエネルギーが必要な際などに、使用されています。肉体労働やスポーツなどで大量にエネルギーを消費した際の栄養補給に「飲む点滴」としてココナッツオイルを摂ることもおすすめです。

歴史的にも認められていた殺菌効果…ラウリン酸

長い歴史を持つインドの伝統医学のアーユルヴェーダにも「ココナッツオイルを使って口をゆすぐ」オイルプリングという方法があります。

これはココナッツオイルの成分のうち50%が「ラウリン酸」であることがその理由であることが解明されています。

ラウリン酸の強い殺菌成分で有害な病原菌、虫歯の原因となるミュータンス菌などを除去してくれる力があるためです。

また口内に生息する微生物やウィルス細胞は、実は脂質の膜で覆われているため、ココナッツオイルを使うことで、オイル同士なので分離せずに微生物やウィルスと一体化させてから、汚れを引きはがすことができるのです。

母乳にもラウリン酸は(ココナッツオイルと同等の)50%近く含まれており、免疫力の低い乳幼児が母乳を飲むことで、風邪のウィルスなどから身を守る助けとしています。

まめにココナッツオイルを摂ることは、子供や大人にとっても日々の免疫力アップに繋がる一手といえます。

おわりに

ココナッツオイルに含まれる高い殺菌成分のラウリン酸と、人の「母乳」の免疫力の源となっているラウリン酸は、ほぼ同様の50%近い高濃度。ラウリン酸が発見されるよりも、遠い昔から始まっていた、ココナッツオイルと人との不思議な縁ですね。現代では、様々な科学的な根拠も仕組みも明かされています。知ることも楽しみながら、今年の夏バテ対策にココナッツオイルの「飲む点滴」を試してみてはいかがでしょうか。

ライター:ふたば

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