いつもの調味料で「コク」を生み出す秘訣は「煮込む前の手順」だった

「使う材料も調味料も同じなのに、タスカジさんが作るとなぜコクがあって美味しいの?何が違うの?」と質問があるので、煮物というと、調味料の「さしすせそ」の順番や、煮込む出汁の事など、鍋で煮込んでからのポイントに目がいきがちに。で今回は美味しい「肉と野菜の煮物」を作るのに不可欠な「コク」を出すためのポイントをお伝えします。

■理想の「肉と野菜の煮物」とは?

「肉と野菜の煮物」とは(筑前煮や、九州のがめ煮、精進料理の炊き合わせなど、定まった料理法や手順が定められているものと違い)ご家庭で鶏、豚、牛のうちどれかの肉と、季節の旬の野菜や今キッチンにあるいくつかのお野菜を選んで作る煮物。食べたことや、作ったことが、きっと誰でもあるはず。

理想は、食べたらホッとできる「箸がとまらない煮物」ですが、時に悩ましい一品に。「料理の基本は抑えている。材料も調味料も悪くない。仕上がった味がイマイチだと感じてしまう…。」と伺います。では、もの足りなく感じさせる「イマイチ煮物」と美味しく「箸がとまらない肉と野菜の煮物」の差はどこにあるのでしょう?

■「イマイチ煮物」と「箸の止まらない煮物」の味の差は?

その答えは「コク」にあります。

例えば、素材に十分に火が通り、調味料のバランスもとれている煮物でも「イマイチ煮物」の特徴の多くは、食べた時に「素材+調味料」の味のみになってしまい、口に入れても、味が長続きせず、スッと消えてしまいます。それが物足りなく感じさせるのです。

一方「箸がとまらない肉と野菜の煮物」の場合。食べた時に、素材の旨味と調味料がバランス良く合わさった、一体感のある味が口の中にひろがります。しかも味が長く続くことで、前半から後半で感じられる味が、微妙に変化していくこともあり満足感につながります。そしてそれが「コク」となり、この一連が、人に美味しい!と感じさせるのです。

 

■科学的に証明されている「コク」の正体は?

人の味覚が感じている味を、科学的に計測できる味覚センサーでも、コクとは「いろいろな味がすること」と表現されます。その意味は「コクがある」という状態のものは、基本5味とされる甘味、旨味、塩味、酸味、がバランスよく感じられるように作られたものであることが分かっているからです。つまり煮物で考えると、素材の味+調味料の味だけではコクが出ないので、「雑味」という言葉使われますが、それ以外の旨味や香りなど複雑な香りが必要となるのです。

 

■「コク」の出し方のポイントは?

通常「肉と野菜の煮物」を作る手順を、大きくわけると

1.鍋に肉や野菜を投入→2.煮込む→3.味付けして煮込む

の3段階となります。

「煮物」というだけあって、コツというとその煮込み方や、味付けの方にあると思ってしまいがちですが、美味しいい煮物に必要な「コク」を出すポイントやタイミングは、実は鍋で材料を煮込む前「1.鍋に肉や野菜を投入」の手順にあります。

 

■ポイント1.肉は「コールドスタート」で野菜より前に入れる。

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肉と野菜の煮物を作る際に(カレーの玉葱を先に炒める感覚で、野菜を先に鍋に投入して炒めるのではなく)必ず、鍋に油を敷いたら、まず肉を投入して加熱します。これは油に肉の旨味や香りをつけていく事にもなります。

そしてイマイチ煮物のお悩みの中には「肉が固い、表面もパサパサしてしまう」。というお声がよくありますが、そうならないためにコールドスタートで肉を炒めることが大切です。

 

□コールドスタートとは?

火にかける前の鍋に油をいれ、素材を敷き、その後加熱する調理法。煮物の場合、まず、鍋に適量の油を敷き、カットした肉を敷いてから加熱します。コールドスタートを行うことにより、肉のタンパク質への加熱を緩やかにすることで、肉の表面を固くすることなく、その後煮込んでも肉が固くなったり、パサパサになったりすることなく中まで味の染みた状態で仕上げることができます。 

□ステーキを焼くには必要なジュウジュウ音。煮物には要注意!

肉が加熱により色の変わる褐色化は、肉の色素が酸化することで色が変わり、同時にアミノカルボニル反応も起きていているので、加熱肉のよい香りを引き出します。

しかし、肉などのタンパク質は、加熱すると組織の立体構造が破壊されて、元の構造に戻らなくなります。

ステーキを焼く場合には、表面をある程度焼き固め、中をレアに仕上げる必要があるので、このシズル感(sizzle)などとも表現されるこのジュウジュウと音を立てるような加熱も必要です。ですが、煮物の場合には、このアミノカルボニル反応が急激に出てしまうことにより、肉の固さやパサつきに繋がってしまうので、注意することが必要です。

煮物の場合には、コールドスタートで肉が固くならないように注意しながら、アミノカルボニル反応で加熱肉のよい香りを引き出すことは大切なのです。この引き出した加熱肉のよい香りがコクへと繋がっていきます。

■ポイント2. 野菜を入れて、しばらく肉と一緒に炒める!(すぐに水分や出汁を入れて煮込まない!)

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先ほどの手順のポイント1.で肉をコールドスタートで炒めてから「野菜を入れて、しばらく肉と一緒に炒める。」これが次のポイントです。「なんだ、そんなこと?」と思いたくなるようなことですが、実はこのポイント2.が旨味のある煮物を作る大きな分かれ道。鍋に野菜を入れて、すぐに水分や出汁を入れて煮込まないこと、が大切なのです。

この作業の意味合いは、それまでの加熱で引き出された肉や油の香りや旨味を、投入した野菜にまとわせながら加熱がすることです。

イマイチ煮物に悩むかたに、普段の煮物の作り方を聞くと、このポイント.2(肉と野菜をしばらく炒める)の作業をされずに、すぐに出汁などの水分を加えて煮込んでいる、または、炒めても油が馴染む程度のほんの数十秒だったりします。それでは、肉に旨味があっても、野菜はただ出汁や調味料で煮ただけとなってしまうので実は「もったいない」のです。

炒める時間はどのくらい?

肉と野菜を炒めるのはどの程度かですが、時間は煮物の(ボリュームにもよりますが)、中火程度で炒め、少なくとも1~2分程度。大鍋ボリュームで作っているようなら3~5分。

炒め始めは野菜の水分も飛びジュウジュウという音もします。がこの時には肉のアミノカルボニル反応は落ち着いているので、シズル感のある音がしても大丈夫です。後で煮込むので野菜の中まで火を通す必要はありません。

人参や蓮根など固い野菜なら、野菜の表面には肉や引いた油がしっかりと馴染む程度。玉葱など柔らかい野菜は少ししんなりする程度まで炒めてください。出汁を入れて煮込むのは、それからなのです。

■ポイント3.肉や野菜以外の旨味食材 コクを生む食材

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「肉と野菜の煮物」のより味を複雑なものにするためには、更に野菜の種類を増やしたり、肉のボリュームをアップさせたりするよりも、肉とは違う種類のたんぱく質を加えて、旨味の相乗効果を生むことも効果的です。

おすすめは、大豆のタンパク質製品「油揚げ、厚揚げ 油麩(仙台麩)」、魚類のタンパク質率の高い食品「ちくわ、練り物」、半分近くがたんぱく質で出来ている「海苔」、種実類の「胡麻」アクセント程度に少量加えるだけでも、肉や野菜以外の風味が加わることで、更に煮物の風味を、複雑で豊かなものにすることができます。

□入れるタイミングは、素材によって調節しましょう。

炒めても形が変わらないものなら、野菜と同じタイミングに入れることができます。(例:油揚げ、ちくわ、練り物)

崩れやすいものは、調味する手前で入れます。(例:厚揚げ、仙台麩)

火通りの良い香りを意識したものなら煮物の最後に加えてひと混ぜしましょう。(例:海苔、胡麻)

 

■おわりに

高級や高品質な食材や調味料でなくても、箸の止まらない「肉と野菜の煮物」を作ることは十分できます。季節ごとの旬で安価な野菜を入れることで、経済的に。栄養のバランスも取れやすく、時には台所や冷蔵庫のあまりもの達を集めても作ることができる一品です。

イマイチ煮物は「素材+調味料の味+出汁の味」だけになってしまいがちですが、同じ素材や調味料でも、ポイントを意識することで「旨味+コク+一体感」など相乗効果で生むことができます。いつもの作られる料理の際にぜひお試しください!

 

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著者プロフィール

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ふたば(Futaba)
調理師、幼児食アドバイザー、
大手料理教室講師、イタリアンレストラン、保育園給食室勤務など、10年以上の料理経験を経て現在タスカジでは「ふたば(Futaba)」として、作り置き料理を実施中。2016年より、大手学習塾の大人向け料理講座等も多数実施中。人気シリーズに「こどもの脳にいいごはん」講座などがある。タスカジさんのお仕事レビューはこちら⇒https://taskaji.jp/user/profile/38950

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